会議の「温度」まで揃える。Plaudが手繰り寄せるチームの勝利
「僕らにとって、欠かせない“仲間”なんです」そう語るのは、FC東京でスポーツダイレクターを務める遠山大貴氏。チームの強化マネジメントという重大な舵取りを担う彼の日常は、息つく暇もないほどの「会議」で埋め尽くされている。
多人数が飛び交う議論の場でも、正確に話者を識別し、瞬時に言葉をテキスト化する「Plaud」。この小さなアイテムが、クラブの日常に劇的な変化をもたらした。
かつては議論を交わしながら同時に議事録を打ち込むという、過酷なマルチタスクを強いられていた。しかし今、その負担はゼロに。「メモを取る手」を止めた参加者全員が目の前の議論に100%集中できるようになり、場にはこれまでにない活気が生まれ始めている。
Plaudがもたらした真の価値は、単なる「作業の効率化」にとどまらない。
不在だったメンバーへの共有も、単なる決定事項の伝達ではなく、会議の「ニュアンス」や「温度感」まで丸ごと届くようになった。チーム全体で細かなニュアンスや視点をズレなく揃え(目線合わせ)、一体感を高めていく——それこそが、彼らの目指す組織の姿だ。
言葉の「行間」と「情熱」をすくい取る。Plaudが拓く、コミュニケーションとデータ分析の新境地
「まさに“もう一人の通訳”であり、サッカーで言えばゲームを組み立てるミッドフィルダーのような存在です」
FC東京の未来を支える分析ユニットの二人は、「Plaud」をそう表現する。海外クラブとの交渉や通訳業務を担うデータアナリストの白水優樹氏と、選手のフィジカルデータを司るアナリストの浅原啓人氏。異なる角度からチームを強化する彼らの現場で、このツールが目覚ましい変化を生み出している。
海外クラブ訪問や現地でのスカウティング。メモを取る煩わしさから解放された白水氏は、目の前の相手との対話に100%集中できるようになったという。さらにAsk PlaudのAI翻訳機能を介することで、単なる言葉の置換を超えた「現場の熱量や温度感」を殺さない、精度の高いコミュニケーションが実現した。
一方、浅原氏はPlaudをピッチ上のコーチング分析という斬新なアプローチで活用する。練習中のコーチの発言を可視化することで、「感覚的・抽象的な指導」を「具体的で選手に伝わりやすい言葉」へと再構築。ピッチ上の声かけ一つひとつをデータ化し、指導の質を根本から高めている。
「選手の本当の気持ちは、日々のたわいもない会話の中にこそ隠されている」と白水氏は語る。言葉の奥にある意図や心理まで深く汲み取ること。そして膨大なデータをAIで高速処理し、最速でピッチへ還元すること。
感覚とデータが溶け合う最前線で、Plaudはチームの情熱とロジックを繋ぐ架け橋となっている。
監督の言葉を「勝利のデータ」に変える。Plaudが担う、もう一人のアナリスト
「Plaudは、チームを陰で支える『一人のアナリスト』になるんじゃないかと思っています」
そう語るのは、FC東京でヘッドオブアナリストを務める藤宏明氏。試合データの分析からクラブが継続的に勝利を重ねるための戦略立案まで、チームの頭脳として多大な役割を担う彼が重宝しているのが、Plaudだ。
主にチームミーティングの場で活用されているこのツール。試合後に監督が発した言葉や熱量を余すことなく記録し、要約・集約することで、「監督が提示したポイントが、実際のピッチ上でどれだけ表現されていたか」を正確に検証・分析することを可能にした。
かつては自らの「記憶」に頼っていた振り返りも、音声として正しくストック・分析できるようになったことで、チーム全体の認識精度は飛躍的に向上したという。
しかし、アナリストの本当の仕事は「分析して終わり」ではない。
「監督や選手に伝わり、彼らが行動を起こして初めて分析の目的が果たされる。伝えるところまでがセットなんです」と藤宏明氏は強調する。
どのような表現であれば、選手たちの心に届くのか。真意を正しく伝えるための「伝え方の分析」においても、Plaudは欠かせないツールとなっている。言葉をデータに変え、チームの意識を極限まで研ぎ澄ます。














